性別欄なしの履歴書が発売へ!主要メーカー初。変化するスタンダード




文具メーカーのコクヨが、性別欄のない履歴書を発売することが決定しました。

トランスジェンダーの人や、その支援者の方、
なんと1万筆以上の署名を受けての発売決定です。

くわしい発売日は今のところ未定です。

今回の発売決定で、新しいスタンダードが生まれる
きっかけになるのではないでしょうか。

なぜこんなに沢山の署名が集まったのか、
発売決定までの背景や理由を見ていきましょう。

履歴書の性別欄で就職活動が不利に。1万筆以上の署名が集まった理由

そもそも、わたしたちが普段コンビニや書店などから購入する履歴書は、
日本規格協会が様式を作ったものです。
その基本的な様式に基づいて、各文具メーカーが履歴書を販売しています。

その基本となる日本規格協会が作った履歴書には、性別欄がありました。
当然、文具メーカーもそれにならい、性別欄のある履歴書を取り扱っています。

それが今回、2020 年 7 月 9 日付で、日本規格協会は、
性別欄のみならず、年齢や顔写真の欄も削除しました。

発端は、若者の労働問題を取り扱うNPO法人「POSSE」などが、
履歴書から性別欄をなくす要望を、経済産業省や
日本規格協会などに提出したことから始まりました。

性別欄の記載は、心と体の性が異なるトランスジェンダーの人にとって、
就職活動などで不利になることが多いというのです。

実際に、こんな体験談があります。

「マルをつけた性別と、面接官の目に映る性別とが
合致していないため、根掘り葉掘り聞かれる。

「性別にマルをすることに抵抗があり、未記入のままでいると、
面接を受けさせてもらえずに帰らされた。

「性別のことは周りに秘密にしているが、マルを付けた履歴書が
職場に保管されていることが不安
で仕方ない。」

「集団面接などの周りの目がある中で、性別のことや、
身体や治療のことを聞かれたりしたらどうしようと、面接自体が憂鬱になる」

仕事にかける熱意や思いを語りたいと思っているのに、
面接の大半が身体についての興味本位の質問のことも多くあるそうです。

このような背景から2月末より、オンラインで署名や届け出が出来る
Change.org」という企業のHP上で、
履歴書から性別欄をなくそう #なんであるの」というキャンペーンが始まりました。

同キャンペーンでは、トランスジェンダーの人たちが実際に体験した差別が
詳細に掲載されており、社会の変化の必要性が問われています。

こうして1万筆以上の署名の力もあり、今回の性別欄の削除に至ったというわけです。

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履歴書の性別欄は本当に不要なのか!?削除して問題はないのか

今まであった履歴書の性別欄、顔写真、年齢を削除することは、
採用に際しての問題はないのでしょうか。

実際にこうした声も出ています。

男性のほうが向いている仕事、女性に任せたい仕事もある」

更衣室などはどう判断すればよいのか」

女性管理職を増やしていくという社会の動きの中で、
性別欄削除はその割合が分かりにくくなるのでは」

「性別欄は無くても良いが、顔写真はあった方が良い。
面接のあとにその人を覚えておくときに便利だと思う」

「年齢は、同時に経験年数も図れるため、削除されるのは困る」

ただ、こうした声の多くは、企業が働く人々に寄り添い、
希望や経験を聞くことで解決できる問題だと思います。

性別や年齢よりも、ビジネスの話をすれば経験年数は分かりますし、
更衣室やトイレなどの問題は、本人の意向を重視すれば良いのです。

それぞれの性別に任せたい仕事があるということや、
女性管理職を増やす問題は、それ自体が性差別の現れです。

トラックの運転手や、保育士、看護師からも分かるように、
その性別に特化した職業というのは、どんどん減っていっています。

また、女性管理職を意識して増やさなければならない社会が、そもそも差別的である証拠です。

海外では、性別や年齢を尋ねないことが暗黙のルールになっている国も多くあります。

日本はまだまだ、前近代的な企業も多くあり、性別欄どころか、手書きの履歴書しか受け付けないという話もよく聞きます。

今回の性別欄削除の動きで、新たなスタンダードが生まれていくことでしょう。

まとめ

心待ちにしていた人も多い今回の履歴書ですが、
実際に発売が決定しているのはコクヨの一社のみ。
しかも発売日は未定です。

今後、取り扱うメーカーが増えることが予想されますが、
今すぐに手に入るものではないということです。

ただ、インターネットからダウンロードできる履歴書には、性別欄のないものもあります。

性別欄がある履歴書の場合も、ダウンロードしたエクセルの性別欄を
自分で削除することもできます。

本人の希望する仕事を、色眼鏡なく、
純粋に本人の能力や可能性を見て採用判断する。

これが本来あるべき社会の姿だと思います。

今回の一件は、そんな社会への大きな一歩です。
それと同時に、ここまで声が大きくならないと対応できない
日本社会の慎重すぎる面も浮き彫りになりました。

わたしたちが当たり前だと思っていたものが、
誰かにとっては当たり前とは限りません。

履歴書以外にも、知らずに誰かを傷つけ続けていることが無いか、
社会全体で関心を持ち、考えることが必要です。

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