1月には、お正月とは別に「小正月(こしょうがつ)」と呼ばれる日があるのをご存じですか?
小正月とは、1月15日に行う正月行事のことをいいます。
年神様や先祖を迎える行事を行う大正月に対して、小正月は家庭的な行事を行う正月です。
小正月は、新しい年の豊作を願う意味を込めた行事を多く行い、同時に家族の無病息災を願う意味の行事も行います。
そして、小正月に無病息災を願って小豆粥を食べる風習があります。
なぜ、無病息災のために小豆粥を食べるのでしょうか?
実は、小豆の栄養価はとても高く、美容や健康、またダイエットにとても効果的なのです。
今回は、その小豆粥について、どんな効果があるのか、また小豆粥の作り方をご紹介します!
小豆粥の驚くべき効果と栄養素について知ろう。
小正月の1月15日に、無病息災を願って食べる小豆粥。
小豆の栄養価はとても高く、健康や美容、ダイエットに効果があると冒頭でお伝えしました。
古来より、薬用としても使われてきた小豆は、様々な効果・効能を持っています。
小豆の栄養素と、その栄養素から得られる、効果・効能をご紹介します。
小豆の栄養素
小豆には次の栄養素が豊富に含まれています。
【主な栄養素】(ゆでた状態の小豆)
- 食物繊維(ごぼうの約3倍)
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ポリフェノール(豆類の中で特に多い)
- サポニン
- 亜鉛
- カリウム
- 鉄分
- カルシウム
- アントシニン
小豆はたんぱく質を多く含み、その他にも食物繊維やポリフェノールなども豊富で、健康面でとても魅力のある食材なのです。
小豆の効果・効能
1、むくみ解消
小豆の皮に含まれるサポニンには、利尿作用があります。
また、カリウムにも体内の余分な水分・塩分を排出する働きがあります。
むくみを解消するとともに、汗と一緒に流れ出てしまうカリウムの補給も同時にできます。
2、便秘解消
小豆は食物繊維を多く含んでおり、腸内環境を整える作用があります。
特に、多く含まれるのが不溶性食物繊維。
不溶性食物繊維の働きは、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促します。
また、大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。
3、疲労回復
豊富なビタミンB群には、エネルギーを効率よく作り出す働きがあります。
ビタミンB群の働きが体内の疲労物質を減らして疲労から回復を早め、疲れにくい体にしてくれます。
4、生活習慣病の予防
小豆には、生活習慣病に効果的な栄養分が多く含まれています。
- 食物繊維:大腸がん、動脈硬化の予防、血糖値の急上昇を防ぐ、コレステロール値を下げる。
- サポニン:中性脂肪を低下させる。
- アントシアニン:血液をサラサラにし、動脈硬化を予防する。
- カリウム:血圧の上昇を抑える。
5、美肌
美肌をサポートしてくれる栄養分がたくさん含まれています。
- ポリフェノールとサポニン:強い抗酸化作用があり、細胞の老化やシワ・シミを防ぐ。
- ビタミンB2:髪や皮膚の成長を促す。
- 食物繊維:整腸作用があり、デトックス効果がある。
6、ダイエット
ダイエット効果が期待できる栄養分を豊富に含んでいます。
- サポニン・カリウム:むくみを解消。
- ビタミンB群:糖質・脂質の代謝を促し、太りにくい体にしてくれる。
- 食物繊維:便通を促す。
- 亜鉛・鉄分:体内の酸素循環をスムーズにし、貧血も防いでくれる。
このように、たくさんの効果がある小豆。
しかし、1点注意点があります。
小豆は血糖値が上がりにくい、低GI値食材なので、血糖コントロールには向いています。
しかし、砂糖と一緒に食べるとGI値が急上昇し、血糖値が上がりやすい食材となってしまいます。
また、カロリーも比較的高めです。
ダイエット目的で小豆を取り入れる場合は、市販の小豆にはたくさん砂糖が含まれているので、使用を控えたほうが良いです。
砂糖なし、砂糖控えめの茹で小豆、または手作り茹で小豆がおすすめです。
小豆粥の作り方①圧力鍋を使った基本のレシピを紹介
小豆を煮るのって、結構手間がかかって面倒くさいですよね。
小豆粥を作るのも何だか難しそう…。
しかし、圧力鍋を使えば、簡単に小豆粥を作ることができるのです。
手間をかけずに、美味しい手作り小豆粥レシピをご紹介します。
【材料】(4人分)
- 白米:1合
- 小豆:1/2カップ
- 水:1200ml
- 塩:少々
- (お好みで砂糖を入れてもOK)
【作り方】
- 小豆は1晩たっぷりの水に漬けておく。
- 米を洗い30分ほど水に浸しておく。
- 小豆を漬け汁ごと鍋に入れて、蓋をせずに火にかける。
沸騰して2分ほど煮たら、ザルにあげてゆで汁を捨てる。 - 圧力鍋に米、小豆、水、塩(お好みで砂糖)を入れて、蓋をして強火にかける。
- 圧力がかかったら弱火にして、9分加圧。
- その後、自然放置してできあがり。
小豆粥のレシピ②人気のほんのり甘い小豆粥の作り方
ダイエット目的で小豆を取り入れたい場合は、砂糖なしがおすすめですが、たまには甘くて美味しい小豆も食べたいですよね。
次は、ほんのり甘い小豆粥の人気レシピをご紹介します。
【材料】(3~4人分)
- ご飯:茶碗2杯分
- 水:700cc~
- 赤飯用小豆水煮缶:100g
- サツマイモ:100g
- 切り餅:5~6個(無くても可)
- 砂糖、塩:少々
- あれば栗(冷凍、甘露煮 可):6個ぐらい
【作り方】
- 鍋にご飯と水、水煮缶の小豆を入れて火にかけ、沸騰したら弱火で炊く。
- ご飯が軟らかくなってきたら、サイコロ形に切ったサツマイモを加えて弱火で煮る。
- 途中、水分がなくなり焦げそうになったら、水を加える。
あれば、栗も加える。 - 粥状にトロッとして小豆もサツマイモも軟らかくなったら、好みの甘さに砂糖を入れ、隠し味に塩少々を加える。
- 切り餅は好みの大きさに切って、焼く。
- 切り餅をお粥に乗せて、できあがり。
サツマイモや栗を加えることで、ほんのり甘い小豆粥ができます。
また、砂糖の量を調整することで、お好みの甘さの小豆粥が作れます。
小豆粥のレシピ韓国版をご紹介③冬至の魔除け料理パッチュの作り方
韓国でも、冬に小豆粥が食べられており、冬至の魔除け料理として普及しています。
韓国語で小豆粥は、パッチュというそうです。
韓国版の小豆粥レシピをご紹介します。
【材料】(1人分)
- 米:70g
- 小豆:100g
- 水:7カップ
- 塩:少々
【作り方】
- 小豆と米、それぞれ2時間ほど水に浸す。
- 鍋に小豆と水3カップを入れ、軟らかくなるまで煮込む。
- 茹でた小豆は裏ごしをする。
- 鍋に米と水4カップを入れ、弱火で、時々かき混ぜながら30分煮込む。
- 4.に裏ごしした小豆を加えて、10分ほど混ぜながら中火にかける。
- 塩で味を調えてできあがり。
小豆の裏ごしはしなくても大丈夫ですが、裏ごしをした方がなめらかな仕上がりになります。
小豆粥のレシピ④炊飯器ならスイッチひとつで簡単に!
圧力鍋で作る小豆粥レシピを紹介しましたが、圧力鍋を持っていない人もいますよね。
そんな人のために、次は、炊飯器で簡単に作れる小豆粥レシピをご紹介します。
【材料】(2人分)
■茹で小豆
- 小豆:100g
- 水:200ml
- A(塩:ひとつまみ、水:400ml)
■小豆粥
- 米:0.5合
- 茹で小豆(砂糖無し):お玉2杯分(茹で汁を含む)
- 水:適量
- 塩:少々
【作り方】
■茹で小豆
- 小豆は使う前にザルに入れて流水でよく洗う。
出来れば1晩水に浸しておく。 - 炊飯器の釜に水と小豆を入れて炊く。(ご飯を炊くように普通に炊く)
- 水気が少なくなったら、スイッチを切りAを入れる。
- 軽く混ぜてスイッチを押して炊く。(時々混ぜる)
- 40~50分くらいたったらスイッチを切ってできあがり。
■小豆粥
- 米をといで水は軽く切っておく。
- 米と小豆の茹で汁を入れて、炊飯器のお粥の目盛りまで水を入れる。
- 塩少々を加えて炊飯器のお粥コースで炊く。
- 炊き上がったら小豆を加えて、すぐに蓋を閉めて保温のまま5~10分放置。
- 混ぜたら出来上がり。
茹で小豆も小豆粥も炊飯器1つで簡単に作ることができます。
鍋とは違い、炊飯器だと放置していても勝手に作ってくれるので、手間もかからず楽ですよね。
ただ、時々炊飯器の中をのぞいて、焦げないよう注意してくださいね。
小豆粥を食べる由来 冬至から小正月に時期が変わった理由とは
次は、なぜ小正月に小豆粥を食べるようになったのか、その由来をご紹介します。
小正月に小豆粥を食べる風習は、中国の古い風習に由来していると言われています。
古来中国では、疫病神を祓うために、冬至に小豆粥を食べるという風習がありました。
この風習が、平安時代に日本に伝わり、宮中行事となったそうです。
そして、小正月の小豆粥が庶民の間に浸透したのは、江戸時代頃だと言われています。
では、なぜ「小豆」だったのでしょうか?
その理由は、小豆の色です。
古くから赤い色は太陽を表し、邪気を祓う力があると考えられていました。
そのため小正月という年の節目に無病息災を願い、赤い食べ物である小豆を使った小豆粥を食べるようになったと言われています。
まとめ
小正月に無病息災を願って食べる小豆粥について紹介しましたが、いかがでしたか。
1月7日の七草粥ほど知名度は高くないので、小正月の小豆粥を知らなかった人は多いのではないでしょうか。
東北地方や北陸地方では、1月7日の七草粥のかわりとして小豆粥を食べる地域もあるそうです。
そして、なんといっても小豆は栄養価が高く、健康面でとても優秀な食材です。
小豆は、健康・美容・ダイエットにとても効果的なので、普段の食事にも取り入れたいぐらいですよね。
お正月行事に比べて、小正月行事はやや地味な印象がありますが、1年の無病息災を願うと同時に、年末年始慌ただしく台所に立っていた女性たちに、「一息ついてゆっくりしましょう。」と設けられた日でもあります。
ぜひ1月15日の小正月には、1年の邪気を祓い、自分や家族の健康を祈って小豆粥を食べてみてください。